
サブプライムローンの問題は、伝統ある「リーマン・ブラザーズ」を倒産に追い込みAIGを国有化させしめるほどの大きな事件だ。
今回も一瞬のうちに、サブプライム問題が今でも金融不安の大元になっていることを思い出させたが、(よく言われているように)この問題の厄介なところは未だに“底”が見えないところにある。
金融会社同士の売り買いする複雑な商品構成や、持ち株会社をはじめとする会社機構の複雑さが拍車をかけているものと見られるからだ。
今回の“リーマン”や特に“AIG”なんて一般の人には馴染みのない会社なのを見ればわかる。
持ち株会社に国籍や業種の実態はない。
AIGは飛行機のリース業の会社まで傘下にあり、保険業にしてもアリコやAIUなど日本では生損保合わせて6社も営業している(世界では130カ国だ!)。
今回の騒動のようなケースは傘下の会社には辛い。
例えば、アリコではジャパンが如何にソルベンシーマージン(支払余力指数)比率800%を誇っていようとも問い合わせの電話は凄まじかったらしい。
理由の一つはマスコミの報道が中途半端であったことと、もう一つは実態と我々の(知らされている)知識の未熟さの隔たりが拡大していることであろう。
今回のAIGの騒動について、昨日付けで生命保険協会長が会見している。
会見は以下のとおり、(NIKKEI-netから)
『生命保険協会の松尾憲治会長(明治安田生命保険社長)は19日の会見で、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が米政府・米連邦準備理事会(FRB)の支援を受けることについて「契約者の保護がしっかりと図られたことは歓迎すべきだ」と評価した。
日本で生保事業を展開するアリコジャパン、AIGエジソン生命、AIGスター生命の契約者についても「米国での措置を通じて保護が図られる。現時点で不安な面は解消されている」との見方を示した。日本事業が売却されるかどうかについては「コメントは控えたい。どういう形で対応されても、契約者保護を優先した取り組みを強く希望する」と述べた。
金融審議会(首相の諮問機関)は生保会社が経営破綻した際の安全網である生命保険契約者保護機構の見直し論議を進めるが、会長は「AIGの状況が審議の参考材料になる」と語った。』
この記事を見ると、まず日本の契約者があたかも米国の措置で保護されたかのように受け取れるが、実際日本の契約者は日本国の保険業法によって守られている(私の記憶によれば、生命保険金の支払準備金は日本国外には持ち出せないはずだが…)。
こうした素人的な報道はやたらに不安を煽るだけで意図が読みにくい。
こうした詳細な経過と充分な知識なしに書かれた記事が横行しているうちは金融不安などなくならないだろう。
さらに、利益が出ている日本事業の株をAIGが売却するとは考えにくいし(こうした質問をする記者もなんだが)、売却したところで日本の事業者が好調であれば契約者に影響はない。
「生命保険契約者保護機構」の見直し云々を書くよりも、まずこの辺りの仕組みを詳細に伝えることのほうが重要だと思う。
ところで、不安を煽るつもりはないが、まだサブプライムの火種はくすぶっていることを忘れてはいけない。